mapleの自由帳

数学と音楽に生きています。

2022年 印象に残った演奏

2022年1月23日(演奏会全体)

シルヴェストリ/トランシルヴァニアルーマニア民俗舞曲
ドヴォルザーク/ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53 *
エネスク/第1組曲 作品9 より 第1楽章「ユニゾン前奏曲
エネスク/ルーマニア狂詩曲 第2番 ニ長調 作品11-2
エネスク/ルーマニア狂詩曲 第1番 イ長調 作品11-1

 年が明けて数週間にもかかわらず,2022年ベストの演奏会でした.
 以前より楽団の存在は知りながらも興味を示していませんでしたが,この公演に関しては学生無料招待という広告をTwitterで見かけたので,それならばと思い応募してみました.確か抽選で200名と書いてあったのですが(その時点でよほど集客できていないことは明確なのですが),当日カウンターで名簿をチラ見したところ10人くらいしかいなかったようで,流石に哀れになりました.ホール(東京芸術劇場)もかつて見たことのないくらいガラガラでした.
 しかし,素晴らしい演奏だった.ほとんど「恋に落ちた」と言えるレベルでした.ちょうどタイミング良く,東京ニューシティ管弦楽団は,2022年度より「パシフィックフィルハーモニア東京」と名を改めて再出発しました.節々から並々ならぬ覚悟が感じられます.特にとんでもないのが「学生パスポート」といって,わずか5000円ですべての定期公演が聴き放題になる会員制度です(さらにすごいことには,大阪の日本センチュリー交響楽団とタイアップしている).迷わず買いました.残念ながら予定が合わないことが多くあまり行けていないのですが,それでも毎度毎度,圧巻のパフォーマンスが続いています.一切の妥協が感じられず,一つ一つの公演に本気で取り組んでいることが感じられます.プログラミングも良い.来季も刺激的だったので,とても楽しみです.
 吉田南さんもすごかった.演奏会全体として見たときに,たとえば「メインは良かったのだけれど……」となることは多く,この演奏会のようにすべての部分がバシッとはまることはなかなか多くありません.特に,芸劇の3階席でもまったく負けない彼女のパワーに圧倒されました.次世代のホープです.今後も応援します.

2022年2月11日

ストラヴィンスキーバレエ音楽「プルチネッラ」組曲

 N響の2月公演はもともとパーヴォ・ヤルヴィ月間となるはずでしたが,感染状況が悪化して水際対策が厳しくなってしまったので,1月公演を担う予定だったソヒエフともども来日叶わず.パーヴォが首席指揮者として振る最後の公演たちだったため,非常に後味の悪い退任となってしまいました.個人的にはB定期でヒラリー・ハーンが登場するのも楽しみでしたが,それもまとめて流れてしまってガン萎えでした.
 A定期とB定期はプログラム自体は大幅には変わりませんでしたが,アルプス交響曲がメインだったこのC定期は,流石に他の人には振らせられなかったか,予定変更(結局2023年4月にパーヴォが満を持して振る予定になっています).かわりに鈴木雅明ストラヴィンスキープロをやると聞いたときは,ひっくり返りそうになりました.
 というのも,古楽の大家として知られる氏が,新古典主義で書かれたプルチネッラはまだしも,ペトルーシュカを自ら(←ここが大事.実際に誰が選んだかはわかりませんが,とにかく代役ではないという意味において)チョイスするなんて,到底思いもよらないことだったからです.
 当日はまさかのストコフスキーシフトにこれまたビックリ.ペトルーシュカは正直そこまで良い演奏とは言い難かったですが,プルチネッラは個人の妙技も光る瑞々しい快演でした.こうした諸々の経緯も含めてのチョイスでした.
 ちなみに,繰り返し言っていますが鈴木雅明氏は中高の大先輩.ということで勝手な思い入れがあります.

2022年2月28日

ショスタコーヴィチ交響曲 第10番 ホ短調 作品93

 生憎もう忘れてしまった.第10番はショスタコーヴィチ交響曲の中でも実は最も苦手な部類で,というのも曲じたいになんというか,いささか「空疎」な印象を持ってしまっているからです.そのため,そこそこのクオリティーの演奏はすぐできても,そこから先に行くのは難しいという印象を持っています.後述の井上道義N響の公演も,メインは同作品でしたが正直あまり感銘を受けることができませんでした.それでも選んでいるということは,なかなか良かったのでしょう.

2022年3月8日

ストラヴィンスキーバレエ音楽火の鳥組曲(1919年版)

 この演奏で和田さんを応援していこうと確信しました.

2022年3月13日

ブラームス/ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25

  • ピアノ:秋元孝介(葵トリオ)
  • ヴァイオリン:小川響子(葵トリオ)
  • ヴィオラ:鈴木康浩
  • チェロ:伊東裕(葵トリオ)

 この日のコンサートは,「ブラームス室内楽ラソン」といって,10時から21時までをかけて3人以上の編成からなるブラームス室内楽作品を網羅するというとんでもないものでした.流石に飽きた.その中でも,葵トリオが絡んだ3作品だけは正直アンサンブルの質が別格で,さすがに普段から室内楽を生業にしている人は違うよなと思いました.拍手の呼び戻しもほとんどの作品は1回だったところ,葵トリオが絡んだ3作品だけは2回で,聴衆の総意なのだなと感じました.加えて,ヴィオラの鈴木さんが素晴らしい仕事をしているなと思いながら聴いていたので,そこが組み合わさった上に作品がこれとなればもう約束された勝利というものです.

2022年4月8日

ハイドン交響曲 第103番 変ホ長調 Hob.I:103「太鼓連打」

 新たな門出を祝う演奏会を音楽監督に任せないことに初めは驚きましたが,このハイドンを聴いただけで学生パスポートを取ったのは正解だったと確信しました.個人的に,最も好きなハイドン交響曲がこの103番(次点の95番とはかなり迷う).しかしめったに聴けない印象なので(そもそもハイドンじたいが,というところはあるが),それがすでに嬉しかった.

2022年4月24日

サロネン/ヘリックス

 正直,演奏自体がそこまで良かったかかと言われれば…… でしたが,純粋にサロネン作品が,それも在京楽団から聴けたことが嬉しかったので.

2022年5月18日(演奏会全体)

フォーレ/劇付随音楽「ペレアスとメリザンド組曲 作品80
ラヴェルバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲 M.57b
ドビュッシー交響詩「海」(管弦楽のための3つの交響的素描)L.109
ラヴェル/ラ・ヴァルス(管弦楽のための舞踏詩)M.72

 これも全体を通して素晴らしい演奏会でした.1月のベストに匹敵するものでした.

2022年5月22日

ウォルトンベルシャザールの饗宴

 約束された勝利①.

2022年6月19日

ゴリホフ/チェロ協奏曲「アズール」

  • 指揮:ステファン・アズベリー
  • 管弦楽:パシフィックフィルハーモニア東京
  • チェロ:横坂源

 これを含めて珍しめの現代作品をいくつかリストアップしていますが,とにかく現代作品はやはり一旦は実演に接してみるに限ります.この作品は元から録音を聞いたことがありましたが,素晴らしかった.

2022年6月26日

ショスタコーヴィチ交響曲 第7番 ハ長調 作品60「レニングラード

 約束された勝利②.

2022年8月28日

ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15

2022年9月11日

ヴェルディ/レクイエム

2022年10月16日

ショスタコーヴィチ交響曲 第4番 ハ短調 作品43

 約束された勝利③.人生でこれを超えるタコ4は聴けるのでしょうか.

2022年10月19日

ダルバヴィ/チェロと管弦楽のための幻想曲集

 この作品はこの演奏会まで知りませんでした.ちょっと冗長に感じられるところもありましたが,とにかく盛りだくさんのこの演奏会でもっとも印象に残ったのは我ながら意外でした(逆に,一番楽しみにしていたビゼー交響曲を退屈に感じてしまった).このイオニーツァという素晴らしいチェリストに出会えたのも良いことでした.

2022年10月24日

細川俊夫管弦楽のための「渦」

 この作品は存在は知っていましたが,演奏は聞いたことがありませんでした.細川作品は全体的に苦手意識があるのですが,実演に接するというのはやはり大事です.空間の活かし方がキモであるこの作品は,録音にしてしまうと全然だめでしょうね.テクノロジーが進化すれば,それもまた違ってくるのでしょうか.果たして.

2022年11月13日

伊福部昭シンフォニア・タプカーラ

 まさかこの半年後に自分が演奏することになるとは,夢にも思っていませんでした.井上道義がタプカーラに対して取っている解釈がどれだけ優れているかは議論の余地があると思いますが,なんにせよN響から定期でタプカーラが聴けたこと自体の喜びが圧倒的でした.

2022年11月19日

コープランドバレエ音楽「アパラチアの春」(全曲)

 大好きなんですよこの曲.

2022年11月23日

ムソルグスキー/歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」より
 ピーメンのアリア「あと一つ物語を書き終えて」

 こうした情勢下で演出を工夫して上演されるということで注目を集めていたボリス・ゴドゥノフでしたが,やはりというべきかその演出がとにかくひどかった.だとしても,ゴデルジ・ジャネリーゼが別格で,それに接することができただけで良かったです.完全に主役と化していました.